女性センターの悪夢①

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 うちのアパートから徒歩4~5分のところに、公共の施設があります。

 名称は、“女性福祉センター”とか、“女性総合教育センター”とかそんな感じで、僕のような男の独身者が足をふみ入れていい 場所ではありません。

(過去にトイレを借りようとしたら、受付のお姉さんに「ここに男性トイレなんてありません!」と言われて追い払われたことがあります)

 この中でなにが行われているのか・・・・平日の昼間に、こんな施設を利用するのは、もっぱら近所の 奥さんたちであるように思います。


 ある夏の午後・・・・センターの前を通りかかると、近所の奥さんたち三~四人がコンビニ袋をさげて 建物の中に入っていきました。夏休みのせいか、母親につきしたがう女子生徒の姿も見えます。 こども会かなにかの会合でしょうか。


 ・・・ところが違いました。隣のアパートに住み、たまに挨拶するぐらいしか面識のない、主婦の 凉子さん(37歳)が、話しかけてきたのです。それも、尋常ではない命令口調で。

 「あら、◎◎くん。いいところで会えたわね。いまから、あなたのうちまで迎えにいくつもりだったのよ。 まったく、ナイスタイミング・・・・ってやつね」

 あ、あの・・・・・・なんのことでしょうか??

 「いいから、来ればわかるから。でも、一応簡単に説明てあげると、このあいだの、わたしの、 ベランダの洗濯物の件・・・・と言えばわかるかしら?」

 げえっ!やっぱり、ばれていたんだ・・・・。実は、一週間ほどまえに、凉子さんのベランダから、風で 飛ばされた下着を一枚、頂いたことがあるのでした。

 これで僕はすっかりしどろもどろになり・・・・・・鋭い目で睨む凉子さんの命令を拒むことはとうてい許されず、 気がつけば、他にも三~四人の主婦に取り囲まれ、半ば強引に、“女性センター”の中へ 引きずり込まれたのでした。



 怖ろしいことに、センター内には、たくさんの女性が待ち受けていました。大半は、地元で小学生の娘を持つ、 比較的年齢の若いお母さんたちです。娘とペアで座っているのがそうで、制服を着た女子中高生の姿もあります。

 スーツを着込んだ女性がふたり。小学校と、中学校の教師であることが、女性たちの会話からうかがえました。

 あっ、前に僕にトイレを断った受付の女性(三十前半くらいで、茶髪で、背が高くて、こわそう)も加わっています。

 僕は、凉子さんにぐいぐい引っぱられて、茶髪の受付嬢に背中を押され・・・・女性たちのいる会議室に姿を 見せると、そこでは大ブーイングの嵐が巻き起こりました。

 みんな、僕のことを、凉子さんの下着を盗んだ、とんでもない変態野郎だと聞かされているのでしょう・・・。
 「ヘンターイ!!」 「最~低!!」 「ありえな~い」 「帰れ、帰れ~!!」などの野次が飛びます。

 あの、帰っていいなら帰りますけど・・・。

 小声でつぶやいてみたところ、凉子さんがとんでもないことを言いました。

 「ダメよ。ここにいる女性たちが、こんな暑い日に、なんでわざわざ集まってくれたと思うの?最低の痴漢であり、 変態野郎のあんたを、みんなでお仕置きするためにやって来たのよ。それも、痴漢の被害に遭いやすい女の子たちの目の前でね」

 あまりのことに、僕は呆然としてしまいました。

 お、お、お仕置きって・・・・・・い、いったい、なにするんですか?

 凉子さんは答えませんでした。ただ目を細めて・・・鮮やかなルージュの口元をゆがめて、 笑ったのだけは、僕の目にはっきりと映ったのでした。


 そのための舞台は、すでにととのえられていました。
 女性教師と、数人のお母さんたちが指導的な役割を果たし、他の二十人近い女性を上手く まとめています。

 僕は会議室の一番奥、一段高くなったところに、正座させられました。
 指導者のひとり、今瀬梨津子という四十代の女性 (この人には高校生の娘がいて、この集会にも加わっている)が、低い声で言いました。
 「正座の前に、服を脱いで」

 僕は、最初、なにを命じられたのか分からず、まじまじと彼女の顔を見てしまいました。

 「聞こえなかったの?正座する前に、服を脱ぐの!下、パンツだけはいていいから」
 二回目の彼女は、まゆげがつり上がり、とても怖い顔で言いました。

 え・・・・・・な、なんで、服を脱がなきゃならないの?

 僕はとまどい、唯一顔見知りの凉子さんを探しました。

 大人と子供、あわせて二十五人ほどの女たちの中に、煙草に火をつける凉子さんの姿がありました。
 彼女は僕と目が合うと、ちょっとだけ笑い、
 「言うこと聞いた方がいいわよ・・・。梨津子さん怒らすと、お仕置きどころじゃ、済まなくなるわよ」
 そう言って、煙草の煙をはきました。

 今瀬梨津子だけでなく、女性たち全員が、怖い顔で僕を睨んでいます。

 会議室の扉が閉まり、内側から鍵がかけられました。窓には分厚いカーテンです。

 「ほら、ぐずぐずしないで、早く脱いで!」
 三十代半ば、めがねの女教師が、僕の尻を叩きました。なんか見たことあるなと思ったら、中学のとき習った小菅美帆先生(音楽)です。
 授業中にふざけまくって、新任教師だった彼女を困らせたあげく、スカートをめくって、泣かしたことがある気が・・・。

 「自分で脱げないなら、わたしたちが手伝ってあげましょうか!」
 音楽教師らしい、張りのある声で言いました。その目は怒りに燃えています。僕のこと、気づいてるのかな?

 「女性の手で剥かれたいの?!」
 お母さん軍団のひとりが、腕まくりをして近づいてきます。

 僕の窮地に、ご近所の涼子さんは知らん顔です。

 僕は観念し、シャツを脱ぎました。今瀬梨津子が、僕の手からシャツをもぎ取りました。
 「次、ズボンでしょ!」
 「さっさとしなさいよ、愚図!!」
 見ず知らずの女たちに、罵声を浴びせられます。
 どうして、こんな目に遭わないといけないのか・・・・・・。
 僕は、ズボンを脱いで、今瀬梨津子に渡しました。

 この日は、僕はたまたまBVDのブリーフ(ゴムでできた、股間のもっこりするパンツ)をはいていたので、 滅茶苦茶恥ずかしいです。トランクスとちがって、むだ毛が出てるし・・・・・・。

 しかし、女性たちはそんなことお構いありません。いや、むしろ僕が恥ずかしがる様子を、見て愉しんでいる ように思いました。

 「男性ヌードショーみたい」
 女子生徒の一人が言いました。
 母親たちから笑いが起こります。

 こんな状況で、お仕置きというのは、なにをされるんでしょうか。

 それからの約三時間は、僕にとってはまさに真夏の昼間の悪夢のような出来事だったのでした。

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